家庭用太陽光設備のその後
家庭用太陽光設備のFIT切れが続々出ています
今では一般の一戸建ての屋根に太陽光設備が乗ることも珍しくなくなりましたが、十数年前は非常に高価な設備であったためなかなか普及していませんでした。そこで、発電した電気を非常に高価で買い取る…といった政策(固定価格買い取り制度:FIT制度)が採られ、家庭用太陽光設備が急速に普及するきかっけとなりました。そんなFIT制度も買取期間は家庭用設備は10年となっていますので、続々とFIT期間が満了する設備が出てきております。FIT期間が終了するとどうなるか、ここでは2026年度末までにFIT期間が切れる設備について考えてみます。
放っておけば価格が下がるだけ
2010年度では48円/kWhで買い取ってもらえていた金額が東京電力管内で8.5円/kWhまで、単純計算で1/5以下に買取価格が下がってしまいます。(2017年度以降に設置した方は手続きをしないと0円になってしまうので注意が必要です。これはまた別に解説します。)
つまり、2016年度までに設置した方で手続きが面倒くさいとか、もう十分元を取ったので下がってもいいやという方は何もしなくてもいいでしょう。でも少しの手間をかけると少しお得になるのでその方法を考えてみましょう。
売電先を変えてみる
手っ取り早く思いつく方法でもしかしたら一番効果があるのがこの売電先の変更になります。例えば東京電力管内ですと以下のような買取価格となっています。
売電先 | 価格 |
---|---|
東京電力エナジーパートナー | 8.5円/kWh |
スマートテック | 10.0円/kWh |
ENEOS | 11.0円/kWh |
東京電力エナジーパートナーに売り続けるよりもより高い値段で買い取ってくれる電力会社があることがわかります。これは簡単な手続きだけで変更できるので最も手軽にお得にすることができる方法です。まだ変更していない方は是非とも変更を検討してみるといいかもしれません。
設備を入れ替えてみる
パネルの交換
10年以上前のパネルは正直言って性能が良くありません。ですので、最新式のパネルに変更すると出力が一気に上がり売電量が伸びるので実入りが多くなるので、おすすめという方も時々耳にします。
しかし、これはやめた方がいいです。10年前と今では確かにパネルの性能はけた違いですが、パネル自体が大型化しており、既存のパネルを受ける基礎がそのまま使えないということがほとんどです。これをやり替えるとなると、屋根にもダメージを与えますし相当費用がかさみます。たかだか10円/kWh程度の売電価格ではとてもじゃないですが収支のプラス転換は難しいです。ですので、パネルの入れ替えはやめるべきでしょう。
蓄電池の導入
蓄電池を導入して電気を溜めておいて夜に使う。これは割と理想的な方法ではあります。なぜなら、東京電力エナジーパートナーの従量電灯B契約3段料金は30.57円/kWhと割とお高いです。10円そこそこで売ったものを夜に30円で買い戻すわけですから効率は悪いですよね。なので、蓄電池を導入して夜も買電量を減らそうとするのは良い方策です。
しかし、これにも落とし穴があります。まず蓄電池は導入単価が高すぎて相当量の蓄電を行う必要があるということです。発電効率の悪い旧式のパネルの屋根置き太陽光設備で、昼間も電力を消費しながら、蓄電に回せる電力がどのくらいあるでしょうか。おそらく、いくらもないでしょう。20年くらいあればもしかしたらある程度は回収できるのかもしれませんが、今度はパネルの出力が問題になってきたりとあちこちで回収合戦となってしまいます。そういった将来的な費用を考えると蓄電池…というのは相当高級な設備に見えてしまいます。回収という面ではやめておいた方がいいでしょう。
まとめ
これから大量に迎える卒FITですが、結局のところ設備には特段触らずにそのまま売電先の変更だけ…というのがお財布には一番優しいようです。パネル交換も蓄電池もまだ値段が高すぎますよね。
ただ、災害時の非常電源として確保するという目的があるなら蓄電池はアリ…なのかもしれません。徐々に蓄電池価格も下がりつつあるのでもう少し様子見というのが正解に思えますが、どうしてもというならパネル交換と違って蓄電池ならアリかもしれませんね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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